つるバラを植える



 つるバラのモッコウバラが黄色い花を開き始めた。これが満開になり、少しわびしくなったころに、白いつるバラが咲き出す。その後、ピンクのつるバラがつづく。元気なバラのつるは、屋根瓦をつたってさらに上に伸びている。
 つるバラの満開のときは、花に包まれるようで、なんともいえないいい気分になる。つるバラが気に入って、新たなつるバラの苗を2株植えた。庭の一角にバラのアーチを作ろう。
 巌さんが薪用に持ってきてくれた廃材のなかに、解体した物置小屋の梁が3本と、柱が3本ある。これを使うことを考えた。梁2本と柱4本を組んで、小屋組みをつくり、そこにつるバラを2本はわせる。バラが茂るまでの夏は日よけによしずを載せることもできる。何年かすれば、茂ったバラで大きなバラの天井になる。細い梁は1本ある。これは、稲を干すときに使うハザ(稲架)を柱代わりに使って門形にし、そこにバラを這い上がらせてアーチにする。
 この計画をいよいよ実行する。足りない材料はハザの丸太だ。ハザはもう農家ではほとんど使わなくなっている。刈り取った稲を天日に干すことをしなくなったからだ。今はもう、稲は機械で刈り取り、脱穀もして、乾燥もさせる。4メートルほどの長さがあるハザは、昔は稲刈り後の田んぼに台木を組んだ上に真横に置かれ、そこに稲が架けられ干された。それが使われなくなって、軒場や雨除けの下に置かれたままになっている。それをもらってこよう。
 近くのY子さんの農具小屋の軒に放置してあるのをもらえないか、聞いてみると、もういらないからどうぞ、どうぞ、という返事をいただいた。ありがとうございます、と感謝していただきに行ったら、ハザは積み上げられた竹やら材木やらいろんな材料の下敷きになっている。それを取り出すために、上から順に取り除かねばならない。一汗かいて五本のハザをいただいた。長年使われてきたハザは、かなり虫食いも進んでいた。防腐剤を塗って、なんとか使うことができるだろう。バラがつるを伸ばすまでに完成させよう。一輪車にハザを積んで運んだ。Y子さんが、大丈夫か、大丈夫かとしきりに気にしてくれたが、無事運べた。