安曇野ひかりプロジェクトの、福島の子どもを放射能から守る保養ステイ


 午後、安曇野地球宿へ行った。「安曇野ひかりプロジェクト」の集いである。その第二部はボサノバの演奏家によるライブだった。
 「ひかりプロジェクト」では、今年の夏も福島の親子を受け入れる保養ステイを実施する。それに向けての出発の会とも言える。昨年夏の安曇野保養ステイの報告から始まり、福島の子どもたちの置かれている環境や現地の人びとの思いが報告され、この夏の保養ステイ計画実現に向けてどうしていくか意見を出し合った。集まってきたのは30人余り、そして幼い子どもたち10人ほど。
 昨夏の企画では、80万円ほど費用が要った。地球宿での宿泊と食事、黒沢川「どあい子ども冒険クラブ」でのキャンプ、往復の交通費(チャーターバス)が主な出費だった。地球宿と子ども冒険クラブの負担、長野県からの支援金、資金稼ぎのカフェの売り上げ、カンパなどを足し、福島の参加者のいくらかの出費によって、やっと実現している。今年も、80万円の予算を見込んでいる。これをどうするか、今後の活動を作っていかなければならない。昨年から有志が始めているキャンドルづくりと販売は、各家庭で使われなかった古いロウソクを集めてリサイクル加工し、きれいな色彩の装飾キャンドルにするというもので、これまでの売り上げの一部はプロジェクトに寄付されている。
 望三郎君が今年の日程を発表した。8月17日から4泊5日。放射能が子どもたちの身体をむしばんでいる可能性があることはほぼ確実視されている。保養ステイという方法は、医学的にも効果があるとされている。放射能汚染のない健康な環境の中でストレスなしの暮らしをすれば、疲弊している免疫力を回復することができるという報告があった。長野県で現在保養ステイを実施している団体は13ある。
 太陽、水、木、土、これら全き自然のなかで数日暮らして元気をとりもどしてほしい。本来なら、長期の保養生活を実施するのが国の責務であるのだが、国は何もせず、当安曇野の行政も全くのかかわりなし。市民にできることには限界がある。もっとたくさんの子どもたちを、長期にわたって受け入れることができないかと思う。しかし、財布も人も少ない状態でやれることは限られてくる。それでもなけなしの財布をはたいて、ささやかな営みでもやろう。それが政治を変えることにもなるだろう。
 第二部のライブは、ボサノバの演奏だった。演奏家の丸山祐一郎氏と相棒の婦人はギターとブラジルの民族楽器をかついで被災地も回り、さらに全国を行脚して、被災地の支援を行なっている。彼の作った歌が披露された。あの「イトカワ」という小惑星にたどりついて、5年の歳月をかけて微粒子の砂を持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」を歌った歌「はやぶさ <君に歌うよ、星の唄>」だった。彼の作詞作曲になるこの歌を、今日彼は楽譜を配って何度かくりかえしみんなで歌った。そしていろんな音の出る楽器を参加者みんなが手に持って、流れる水の音、吹く風の音、田んぼの蛙の声、祈りの鐘の音、浜辺の波の音、いろんな音を合わせて、森の歌を演奏した。希望と祈りをこめて歌った。丸山さんたちは、これからモンゴル、ロシア、フランスと世界も回るのだと言った。