「子どもたちを救え!」



被災地の子どもをマイホームに受け入れるホストファミリーに我が家も登録して一月になるが、子どもたちがやってくる段階にまだ至らない状態にある。
「一校ひとくみ:ながの」の運動が、多くの市民に伝わっていないため、なかなかホストファミリーが増えないからでもある。
「子どもたちを放射能から救え!」と、協力機関、賛同者は増えてはいるのだが。
4月の時点では、安曇野市のホストファミリー登録者はたったの3家庭だった。
他の市町村はどうなのか分からない。
子どもたちが元の学校の友だちや先生から離れて、バラバラの状態になって避難先の学校に通うというのは、子どもたちにとっては望ましくない。
そこで同じ学校の子どもたちを、長野県の学校で「ひとくみ」ずつまとめて受け入れ、その子らの暮らす家庭はその学校の校区にあるという、子どもらの絆を保つことが仕組みになっている。
4月の時点で地元の小中学校の学校長を訪れ相談すると、学級定員や教室、先生の人数など、教育条件が絡んでくるが、なんとかして受け入れたいということだった。


運動は長野県医師会が母体になっている。
協力機関に、信州大学、長野県災害対策支援本部避難者受入支援チーム、県教育委員会、PTA連合会などが加わっているが、4月の時は、地元の行政も学校もこの運動の企画を知らない状態だった。
新聞報道はなされたが、自治体の広報には載らない。
横浜市では子どもたちをホームステイで受け入れようと呼びかけると、たちまち1500軒も集まったという投書を新聞で読んだ。
情報の違いなのか、市民の意識の違いなのか、何だろう。


組織・機関の動きは、リーダーが鍵になる。
上意下達、トップダウンで動く組織では、上から下りてくるまでメンバーは動かない。
危機に対応して柔軟に難局を切り開いていく組織・機関と、ただただ日常のお決まりの仕事しかやらない組織、機関とがある。
そこには集団を構成する個人の意識と行動力が関係している。
組織・団体を動かす自由な知見と意識を持った個がそこにどれだけいるか。
教育委員会、PTA、教職員組合自治体の労働組合、地元区長会、区民の自治会、社会福祉協議会、JAなどなど、
まず自分の組織で何が出来るか、それを問い、考えて、動いているのだろうか。


<農業からの被災者支援>のアイデアを持って、ぼくの訪れた農家のAさん、
「農協は利益を追う集団ですから、ボランティアはやりませんよ。」
この言葉を聞いた時、「私たちJAは支援活動はやりません」、ということだったのか、それとも「彼らJAはそういう体質ですよ」、という意味だったのか、どちらだったのだろう。
<「一校ひとくみ:ながの」>を呼びかけに行った元教師のMさん、
「私も思うのですよ。この地域には、被災者を受け入れることのできる空き家、空き部屋はたくさんあるんですよ。被災者受け入れが少ないのはなぜなんかと。市民の意識ですかねえ。」


「一校ひとくみ:ながの」の運動。
自分の動きもこれでいいのかと、自分を問うてもいる。