「まつもと子ども留学プロジェクト」<福島の子どもたちを守る>

            <写真・安曇野ひかりプロジェクトの福島の子どもキャンプ>


 「まつもと子ども留学」というプロジェクトが進んでいるそうだ。
先日「安曇野ひかりプロジェクト」で、今夏の福島の保養ステイを話し合ったときに、このプロジェクトの話が出た。そして安曇野社会福祉協議会事務局で保養ステイの資金について相談したときにも、この「子ども留学」のことが話題になった。
 3.11後に、長野県医師会や信州大学の有志が立ち上げ、県下に呼びかけた、東日本大震災被災地から子どもを地域と学校で受け入れるホームステイ「一校一組」のプロジェクトに通じるものだと思った。
 大いに関心を持ってネットで調べた。すると、菅谷松本市長の語っているユーチューブがあった。菅谷市長は、チェルノブイリ原発事故で、医師として現地で支援に携わった経験があり、福島原発事故直後から、子どもの被爆の危険について発言を繰り返してきた。
 菅谷市長は記者会見で語っていた。
 これは国難である。国が前面に出て対策をたてていかないと、きわめて危険である。被曝から1000日以上が過ぎたが、甲状腺がんが増えている。いまだ被曝との関係が明らかにされていないが、内部被曝が進行している恐れがある。
 チェルノブイリでは事故後27年たっても、15歳の子どもに障害、病気が起こっている。事故後生まれた子どもでも、被曝の影響が出ていると思われる。
 菅谷市長は、福島で子どもを守る運動をしている人に聞いた。
 子どもたちは、外に出ないようにしてきたために、肥満状況であり、運動能力も衰えている。つまずきやすく、片足立ちして靴下をはくことができない子どもが増えている。また外の世界への興味関心が低下し、無感動な子どもが多いように思われる。保育園児の被曝量を調べると、8月の被曝量データが高かった。これは、夏休みで子どもたちが外に出て汚染された野山で遊んだためではないか。
子どもたちを守るために、NPO法人「まつもと子ども留学基金」が生まれた。
 「まつもと子ども留学基金」は、被災地の子どもたちが安心して生活し、遊び、勉強する場所づくりを目指して、信州松本の地での子ども留学プロジェクトを計画した。自然豊かな松本市の北部にある四賀地区(元四賀村)。ここに寮を設けて、子どもたちは一緒に生活をし、地元の学校に通学できるようにする。
 それは、戦時中、戦災から子どもを守るために、集団疎開を国の政策で行なわれたが、それを思い出させた。
 松本市は、行政の責任で、NPO法人「まつもと子ども留学基金」に協力して、教育環境と住環境を整えることにした。どれだけの子どもを福島県の保護者が送り出してくるか分からないが、希望する子どもの数を見ながら、受け入れ学校と住宅を確保していきたい。これを松本モデルとして、他の地域や全国に活動が広がっていくことを期待している。
本来これは国の政策で行なわれるべきものだが、市民から起こってきたこの活動を支援して、松本市は行政としてできるだけのことをしたい。
寮にはスタッフが常駐し、子どもたちは共同生活する。対象は小学3年から中学3年までで、寮費は保護者負担になるが、NPO法人の負担、助成金や募金も活用して、「まつもと留学」が実現するようにしたい。 4月から実施予定である。
 これが菅谷市長の話であった。市長はこんなことも話した。
「(野球の)王さんにも話しました。そうしたら、子どもを被曝から守るためにも、子どもたちを自立させるためにも大変いいことだ、と王さんは言いました。福島の現地からも、積極的に松本へ行かせたいという声が出ています。松本市では、安心して送り出せるように、NPOと協力して受け入れていく方針です。学校は30人学級で実施していますが、実際には25人とかで、人数に空きがあります。そこに転入すれば、多くの地域に広げられると思います。」