大震災支援ボランティアに行ってきたシンちゃん

28日、安曇野市社会福祉協議会主催の第四回ワークショップは、震災支援をテーマにした。
声をかけておいた孝夫さん夫婦、望さん、幸代さん、シンちゃん、厳さん、テルちゃんたちも来てくれて、参加者は全部で30人ぐらいになったが、それにしてもこの大災害をテーマにした集会にしてはあまりに寂しい。
危機管理室から市職員二人が出席してくれたが、だいたいが市の動きが乏しい。
社会福祉協議会は、「PRが足りなかった。」と反省の弁。市は、主催が違うからと、なんの広報も無かった。
被災者を受け入れている人、ボランティアで行ってきた人、何が出来るか考えている人、30人は円く輪になって座って意見を出し合った。


被災地へボランティアで行ってきたシンちゃんが、現地報告をしてくれた。
シンちゃんは大工でもあり、アマチュア演奏家でもある。
口頭の報告はメモを取らなかったので、ここに池田シンちゃんのブログから、ボランティアのことを転載しておこう。


           ☆     ☆      ✩

「もう一ヶ月も石巻でヘドロ出しをしている仲間がいます。今日また別の仲間が二人石巻に向けて出発しました。
ゴールデンウィークの)連休中も3名+α。
連休明けには僕他数名が被災地に飛びます。その前に栃木に保護されたペットを引き取りに行きます。
ボランティアって、物好きなヒマ人が重箱のすみを突っつくようなちっちゃな仕事して自己満足してるんだろ。
まぁ自衛隊の邪魔しないようにやってな、とか思ってる人って、もしかして結構多いかな?
はっきり言って今度の震災。ボランティアの活動無しに東北の復興はあり得ません!
確かに自衛隊は頑張って遺体捜索してくれてる。道路直したり瓦礫撤去してくれてる。
だけど自衛隊は各家庭のヘドロ出しまではやってくれないんです。その家の家族だけでは到底やりきれない大変な仕事です。それをやってるのはボランティアなんです。
行政は避難所におにぎりと菓子パンを配ってる。お陰で避難所の人々は飢え死にしなくて済んでる。
だけど一ヶ月もずーっとおにぎりと菓子パンばっかり。
そこに温かい炊き出しを提供してるのはボランティアなんです。
避難所で誰とも話もできず、ポツンとただ座っているお年寄り。そんな人に優しい声をかけてあげるのはボランティアなんです。


家の中のヘドロ出し。
足の踏み場も無い。水を吸ってとことん重たくなった畳が折り重なり、本や家財道具が散乱し、窓は割れ、ガラスが飛び散り。
どこからか流れ着いた大きな冷蔵庫。オイル満タンのドラム缶二本。缶ビールにティッシュ
庭にはサバとイカの冷凍ブロックの溶けて腐ったやつ。ぶよぶよにふやけたドッグフード。車が四台! 
ありとあらゆるガラクタの山。

朝は鳥の鳴き声と救急車のサイレンで目覚める。時計は5時。昇る朝陽を眺め、ヨガと呼吸法で体調を整える。朝食を食べて出発。昼間は毎日ヘドロ出しゴミ出し。
夕方テント場に帰って腹一杯晩飯を食べ、少しだけ酒を飲んでそうそうに寝る。
何だか健康になった。ヘドロ出しも楽しかった。町の人達も笑顔で迎えてくれた。日々充実していた。会社の仕事と違い、めんどくさい上下関係も無い。ボランティアという、お金の絡まない対等な人間関係。自主的な作業に喜びを感じていた。人間の可能性。日本の明るい未来を垣間見ていた。


隣の路地では自衛隊が重機を使い捜索活動をしていた。
車の下に遺体を発見した。
タンカで運ばれてきた遺体は小さかった。
すぐに両親が来て遺体を確認した。若い母親は顔をグシャグシャに泣き腫らして僕たちに深々と頭を下げた。
小学生の女の子らしい。
少女の遺体は自衛隊の車に乗せられ、走り去った。
被災地のみんな、意外と明るくて笑顔を見せてくれていて、僕は気付かなかった。
みんなとても深い傷を負っているんだってこと。


先日22日。穂高駅前ひつじ屋さんにて、東日本大震災の被災地にボランティアに行って来た人達の報告会を開きました。
報告者は僕を含めて7名。女川、石巻でヘドロ出し、家屋のゴミ、瓦礫撤去作業をしてきた人。
避難所で被災者の治療。マッサージ、ヨガ、炊き出し、風呂作り。各家庭を回って必要な物事を訊いて回った人、等。
20歳から?歳まで。男から女まで。立場もそれぞれ被災者とのかかわりもそれぞれ。いろんな視点からの意見が聞けて内容の濃い報告会となりました。
報告者の皆さん共通の見解としては、
「とにかく人が足りない。一人でも多くの人が現地に飛んで直接ボランティア活動に関わって欲しい」
ということ。
「息の長い、長期的支援が必要だ」
ということ。
そしてこの報告会のお客さんの声から、
「実際に現地に行ける人を支援する体制を作って行こう」
という案が生まれました。
事情で被災地に行けない人も多い。その思いを実際に行ける人に託して行こう。
目に見える形で義援金を回して行こう。
お金を出す側も、自分がボランティアを被災地に送り出す、という気概を持てるように。
目的は、1人でも多くのマンパワーを現地に送ること。
行きたいと思っている人達の背中を押し、支援すること。
そして、思いはあるけど行けない人達と実際に行ける人達の心をつなぐこと。
行く人はただ行くだけではなく。
お金を出す人は、ただお金を出すだけではなく。
行く人とお金を出す人の心が一つになること。
これはとても大切なことだと思います。


古い友人から久しぶりにメールが届きました。
彼女は縁あって福島原発近くのペット保護ボランティアの手伝いに行って来たそうです。
友人達がこんな風に動いてくれている。それだけで何かとても嬉しいです。
ありがとう、と心から言いたい。僕の為にやってくれてる訳じゃないけど。
でもやっぱりありがとう、と言いたい。
僕もクローンを一万人くらい作って被災地あちこちに向かわせたいくらいです。
彼女はペットの里親になってくれる人を探しています。飼い主が現れれば返す。現れなければずっと飼うことになります。引き受けてもいい、という方が居たら、とりあえず連絡してみてください。

彼女の文章を転載します。

『私は18日に野菜を福島の小名浜に届けて、その後原発避難区域から保護されたペットの収容場所に行って手伝ってきたよ。
ペット達は悲惨な状況です。
1ヶ月以上も庭につながれたまま餓死寸前の犬とか、閉じ込められた家の中で共食いしあった猫とかさ。
保護されても狭いゲージに長い時間いないと駄目で、
それはもう保護された犬の数が多すぎて散歩なんて手が回らないからなんだけどね。
犬好きが集まって世話してるから愛情込めてるけどね。
でも、一番必要なのは一時預かりしてくれるホストファミリーなの。
そこにいたどの犬も誰かが近寄ると、すがり付いて離れないんだよ。
もうかわいそうで涙が出っぱなしだったよ。
うちも1頭預かってきました。
もしホストファミリーになれる人がいたらよろしくお願いします。』


『ボランティア後方支援ネット信州』が発足しました。
【趣旨:被災地に対して人的支援が何よりも重要、との観点から、地元信州より一人でも多くの人材を被災地ボランティアに送り込むべく支援後押しすることを目的とする。
さらに、定期的にボランティア活動報告会等を開き、支援したいが実際に現地に行くことができない人達とも活動内容を共有し、目に見える形での、息の長い後方支援を実現する。】

まだ始まったばかりです。ブログも専用口座もこれから立ち上げます。」