無事、棟上げ

16日朝7時半、タカオ君が数台の脚立を軽トラックに載せて、やってきてくれた。
「赤飯つくってきました、どうぞ。」
タカオ君の作った最高のもち米と小豆で、奥さんのヒサミさんが朝から炊いてくれたのか。
エゴマ塩をつけた赤飯の重箱二つと、さらにもうひとつ独活(ウド)を付け加えて。
すべてタカオ農場の産物。
お赤飯は、お昼にみなさんで、いただこう。
8時前に大ちゃんと、同じ大工仲間のシンちゃんが到着。
この若い力を得て、いよいよ棟上げだ。
今日は朝から晴れた。
少し雲が多かったが、次第に青空が広がり、日中は暑いくらいになりそうだった。
初めに、建物東側の3本の柱組を床で組み立て、4人でよいしょと起こして立ち上げる。
そこから広げて、柱を立て、桁を載せて、つないでいく。
遅れて助っ人の望君が来てくれた。
夫の大ちゃんの初めての仕事振りを見たいと、カメラマンを兼ねて奥さんのジュンちゃんも、愛犬ピースを連れてきた。
5.5メートルの桁と古材の梁は重い。
一本の梁でも、数十キロはあろうか。
柱、桁、梁と、大ちゃんの刻んだところを組み合わせていくと、
次第に建物の形ができてきた。

大ちゃんの刻みは、見事に成功し、形になって現れてくる。
炭塗りの真っ黒な梁、桁、母屋をつたって、
上に下に、ましらのごとく、大ちゃんは動く。
タカオ君は大工仕事は経験がないが、地元の消防団員であるだけに、バランス感覚もあり、
高い梁のうえを、一本橋を渡るように移りわたり、
柱や梁のホゾを差し込んで、片手に大槌のカケヤをもって振り下ろす。
強靭な力だ。

望君は、組み立てていく次の材を、機転を利かせて、選び取り運んでくる。
そこは望君の機知。
シンちゃんは材木のもう一方の側に立って大ちゃんと声掛け合い、空中で身軽にカケヤを打つ。
後から訊いたら、シンちゃんは森のなかの元炭焼き小屋に住んでいるそうだ。
ジュンちゃんは、カメラをもって、東から西からパチパチ撮る。
若い力の連携がすばらしい。
昼ごはんは洋子の作ったカレーライスと、タカオ君の持ってきてくれた赤飯、
ジュンちゃんが接待してくれた。
やはり昼間はかんかん照りになった。

最後の棟木が束におさまって、棟上げが終わったのは夕方5時ごろだった。
男たちは棟木の上に立って、写真撮影をした。
出来上がった柱組み、
頭の中に描いていた図より、立体であるだけに大きい感じがする。
刻みに少々のミスはあったが、大ちゃんの技は確かだった。