地域文化


      地域文化に触れる


安曇野を描く 安曇野の画家たち展」の会期が、
明日までというので、
豊科近代美術館へ行った。


豊科町の美術館として1992年に地域文化の発展を願って建てられ、
去年の五カ町村の合併によって安曇野市立になった地域の美術館ではあるが、
なかなかどうして大したものだった。


ヨーロッパの中世修道院の建築スタイルに倣ったという、
建物の雰囲気に心が落ち着く。
バラ園を横に見て、入り口を入ると、
今日の催しが書いてある。
午前中に「チェロコンサート」が行なわれたという。
ちょうどそのときは午後の催し、「癒しのコンサート」の最中だった。
チェロのコンサートがあったのなら、聴きたかった。


安曇野を描く」画家たちの絵は、全部で四十七人。
安曇野が好きで、安曇野に住み、
あるいは安曇野に来つづけ、
その風土を描いてきた画家たちがこんなにもいる。
安曇野の西山は北アルプスとその前山、
東山は、標高は低いがアルプスの展望がすばらしい。
描かれた四季の風景は、
物音のしんと絶えた雪野から、緑湧き立つ生命の春野、
そして新たな命を育む夏から秋へ、
木々、山々、林、野仏、
村やそこに生きる人の暮らしが
画家たちの心と体を通して、
再び新たな安曇野となってキャンバスに結晶している。


常設展がまたいい。
高田博厚の彫刻は、
現存するもののほぼ大半をこの美術館が収蔵している。
1900(明治33)年に石川県で生まれ、
18歳で上京して高村光太郎らと接し、
独学で彫刻をはじめる。
1931(昭和6)年に単身渡仏、ロマン・ロラン
アラン、ガンジーと親しく交わり、肖像制作に励んだ。
回廊には、ロダンの作風を受け継いだ高田の肖像の力作が並び、
そして宮芳平の絵も多数展示されている。


常設展を観ながら進んでいくと、
絶唱が聴こえてきて、
その声に惹きつけられていったら、
ホールの「癒しのコンサート」に行き着いた。
障害者の運動体が主催しているコンサートで、
だれなのだろう、名前の分からない歌手がピアノやギターを弾いて、
歌とトークを行なっていた。
客は百人ほどだった。


明日も、松本交響楽団のメンバーのよるコンサートが、
庭園の方で行なわれるらしい。
もう一度じっくり常設展を観に来よう。
多彩な地域文化にこれから触れることができるだろう。
そこで考える。
さて、自分はどうするか。
最後はこのテーマに行き着く。