オオジュリンの異変の原因は原発?



 渡り鳥のオオジュリンに異変が起きているという。
 オオジュリンホオジロの仲間で、15、16センチの体長、チッと小声で鳴いて、澄んだ声でチーウィンとのばして鳴く。翼は赤褐色、黒い縦縞の斑紋がある。
 北海道や東北地方のヨシ原などで繁殖し、秋冬は本州以南の河川や湖沼周辺の草原や湿原等に生息する。食性は雑食で植物の種子、昆虫類を食べる。アシの茎に縦に止まり、葉の鞘をはがし中にいる昆虫を捕食する。地上を跳ね歩きながら餌を採ることもある。
 草の根元等に枯草等を組み合わせたお椀状の巣を作り、5〜7月、1回に4、5個の卵を産む。雌雄とも抱卵し、抱卵期間は12〜14日。雛は孵化してから10〜13日で巣立つ。
 このオオジュリンに異変が起きている。
 2011年秋から、12枚の尾羽根が、正常な鳥では尾羽根を広げると左右が対象になっていて長さがそろっているのに、虫食い状に尾羽根が欠けていたり長さが不ぞろいになっていたりするオオジュリンが見つかっており、山階鳥類研究所が東北から九州まで14都県の17地点で緊急調査すると、すべての箇所で異常が見つかった。2012年3月までに、調べた5541羽のうち、13.8パーセントにあたる767羽に尾羽根の異常が発見されている。(朝日、5月24日)
 渡り鳥であることから、渡りの経路が共通しており、その経路の環境変化が影響しているのではないかと推測され、原因は、
1、寄生生物 2、栄養不足 3、甲状腺異常 4、放射性物質の影響
が考えられるが、山階鳥類研究所の尾崎清明副所長は、虫食い状態の部分に寄生生物に食べられた形跡はないこと、オオジュリンがいっせいに栄養不足に陥るとは考えられないこと、既知の感染症の症状とも合致しないこと、欠損した尾羽根を抜いたら同じ形の欠損のある羽根がはえてきた例が確認されたことなどから、
 「体内で、何らかの理由で遺伝子やホルモン分泌などに異常が起こり、羽根の発生や発育段階で誤った信号が送られているのかもしれない」
と分析している。
 2012年も2013年も異常の割合は減っていない。ということは、やはり4番の放射性物質の影響ではないかと思われ、福島原発事故で放出された放射性物質が、小鳥に現れているのではないだろうか。
 放射性物質は、野生生物にどのように影響しているか、福島の地ではどのような異常が起きているのか、そして人間にはどうなのか、特に人間の子どもにはどうなのか、そのことを厳しく調査研究することが必要だが、今日までどれほどのことが行なわれているのだろうか。
データを隠したり、調査を怠ったり、安心感を与えるためにごまかしたり、そういうことはないだろうか。
 原発再稼動を優先する政府に対する不信感は根強い。
 野鳥はその地の植物の種子や実や芽を食べ、虫を食べる。放射能汚染地帯の小さな生き物を餌にする小鳥たちの体のなかには、放射性物質が蓄積されていく可能性が高い。
 やがて恐ろしい事実が明らかになるのではないか。

 一昨日、はるか遠くでホトトギスの初鳴きを聴き、今日またはるけきかなたでホトトギスを聴いた。一声、二声聴いただけで、あとは耳を澄ませど後立山の雪の峰のかすんでいるのを見るだけだった。