雪降りやまず

 朝起きると外が白い。雪が降り続いている。30センチほどの積雪があった。ランと雪道ウォーキングしてから戻って雪かきをする。隣の地区は除雪車が出ていたが、我が地区は来ない。我が家の横を通る道路の除雪をする。Oさんも雪かきしている。同じ並びの3軒の住人はこの道を通って外出するから、雪を除いておなかければならない。お向かいのみよ子さんの家に軽トラックが止まって、二人の男女がガレージ前と玄関前の除雪をしていた。見れば民生委員のH子さんだった。ご苦労様です、挨拶する。二人は雪かきが大変な人の家を回って、雪かきしている。今日の雪は乾燥した粉雪で、軽い。車の通るところはまず雪かきをする。
 雪は止むことなく降っている。テレビがソチオリンピックの開会式を放送していた。雪は止みそうにない。雪の日はオリンピックを観よう。
どんな開会式になるか、好奇心が刺激され、演出に注目しながら観ていた。そこにはその国が現れる。演出を観ていて、ロシアのアイデンティティが生み出す式典だと思う。国の威信、プライドを表そうとしている。が、やはりオリンピックの大義が貫く。すごい趣向だった。
 お昼になってエンジンをふかす音がした。外へ出てみると、雪は北からの風に吹かれて、玄関前にうず高く堆積していた。エンジンをふかしていたのは、クロネコヤマトの配送車で、雪に車輪が取られて、空転して動けない。去年も同じことがあった。これはドライバーに任せておけない。配送車のところに行くと、顔なじみの若いドライバーだった。後輪にはチェーンを装着してあるが、前進、バックどちらにしても、車輪は空回りする。ぼくも手伝って、スコップで雪を取り除いたり、木の板を持ってきて車輪の下にかませたり、いろいろやってみるが、車は動かない。
 「前進しないで。バックだよ、バック」
 若いドライバーはそれでも前進させたりバックさせたりする。タイヤの下にかませた板がギヤを前進にすると、空転するタイヤに弾かれて後ろに飛ぶ。
 何度も失敗した。地面の雪を取り、丁寧にタイヤの下を整えて、やっと車は動いた。兄ちゃんドライバーはうれしそうに手を振って帰って行った。雪は横殴りに降っている。
 朝に雪かきした道路にはまたも30センチほど積もっている。雪かきしていないところはひざを越えるぐらいになった。雪かきの繰り返し。Oさんも、お隣のA子さんも出てきて道路の雪かき。ぼくのポンコツ車は雪に埋もれた。
 工房への道も除雪をし、屋根の雪が早く落ちるように、薪ストーブに火をいれた。
 降ってくる雪で、午後は雪かきにかかりきりになった。チェーンをまいたトラックがAさんの家へ薪を配達しにやって来た。荷を降ろすとバックで坂を下りてくる。
 「そこでターンをします。その曲がり角のところ、曲がれますか」
ドライバーが聞いてきた。
 「ここ、さっき、クロネコヤマトがはまりこんだところですよ。この角は大丈夫です」
 トラックは無事バックして、帰っていった。
 Oさんの奥さんがやってきた。歩いて買い物に行くという。
「気をつけていってくださいよ」
 A子さんが車に子どもを乗せて家から出てきた。
 「子どもがころんだんです。赤十字病院へ連れて行きます」
 「大丈夫ですか。気をつけて行ってください」
 雪かきで腰が痛くなってきた。雪降りは明日の朝まで続きそうだ。