ワークシェアリングを行なって失業をなくす

michimasa19372009-02-14




ホームレスになり、東京の年越し派遣村で一緒だった3人が、アパートを借り、
共同生活を始めているという記事が出ていた。
生活の資金は生活保護費。
受け取ることが出来るようになった保護費は、ひとり月約13万円。
3人は、家賃5万3千円、光熱費、食料費を差し引いた残りを使って、仕事をさがしているが、仕事は見つからない。


働きたい、仕事をしたい。
だが仕事がない。
仕事が見つからない。
人間、仕事がないのはつらい。
仕事は、単なる金もうけではない。
生きている実感は、仕事があってこそ得られるもの。
その仕事に、自己を活かし、それが社会の役に立っていると感じられれば、さらに生き甲斐を得る。
最もやりたい仕事なれば、自分の人生をそこに託す。
自分の体、心は、安定し充足する。


生活保護を受けていても、仕事がないむなしさ。
そういう人が、若者から熟年まで増えている。


なぜワークシェアリングを考えないのか。
生活保護の対象になる人に、国や自治体が仕事を用意することは不可能なのか。
生活保護費受給者に仕事を用意し、その公費分を給料にしていけば、
元の財政にかかる負担は変わらないという計算が成り立つ。 
そうして生み出せた労働力を、不足しがちだった行政施策に活かす。
足りなかった分野、手の回らなかった分野に仕事を発掘し、そこに人を投入することで、不備な分野に新たな手が入ることになるだろう。
教育、福祉、環境、衛生、実にいろんな分野で、活動する仕事が作り出せるはずだ。
たとえば環境クリーン隊をつくったとしたら、
おびただしいポイ捨てのゴミがなくなるだろう。
川辺のゴミも減るだろう。
使わなくなった家財、家具、家庭用品のリサイクル活動の部門を作り、職員を雇う。
そうすれば、大型ゴミも活かせるだろう。
以前、栃木に住んでいたとき、その市ではリサイクル活動が活発だった。
ボランティアの人が毎日事務所にいて、市民からの「あげます、譲ります」の情報を登録していた。
ぼくは、イタリア製の電気のオイルストーブを登録品のなかから見つけ、職員にそれがほしいと告げると、
持ち主に連絡を取ってくれて、伝えられた住所に行った。
ストーブの金額をたずねると、持ち主のおばさんは、もう使うことなく、納屋の荷物になっているだけなのでと笑いながら、
「いくらでもいいですよ」
と言うことだった。
ぼくは数万円はするストーブを、わずか数千円でいただいて帰った。


農業をしたいというIターンの若者がいても、行政が用意している条件が限られていて、
資金のないものに借りることのできる家がない。
耕す農地も農機具もない。
行政が新規就農者に準備している住宅もわずかな期限で終わりになる。
農業で食べていけるようになるまでには、いったいどれだけの準備と経験、年月が要るのか、
その間の乏しい収入にたいして、どれほど副業をしなければならないのか、
行政はそこまで考えているように思えない。
先日相談に来たM君の話を聞いて、安曇野の農政も、そういう一人一人の新規就農者を見捨てていると思った。
相も変わらず「お役所仕事」の域を出ない。


ワークシェアリング、それができないのはなぜか。
公務員は「親方日の丸」、安閑と、心のない仕事をしていても問われることもない。
仕事を増やしたくないし、既得権を手放したくない。
自分の部署、守備範囲から外には出ない。
上位下達の縦割り行政。
市民のなかに入って、現場を見ることが極めて少ない。
ことなかれ主義。


市民から託された仕事は、10年先20年先をえがきながら、目の前の市民の現実から眼をはなさないで、
必要な手を打っていくことで成り立つものではないか。


小さな村の、行き届いた行政、
大分県姫島村のホームページを見た。

役場の職員、特別職や議員の給与、報酬も、職員と同じく低く抑えて、
多くの人を自治体で雇用する、ワークシェアリングを行っている。
姫島は離島のため、経営的に民間の参入は難しい。
そこで、診療所、高齢者生活福祉センター、フェリー等、官ができることは官がやっている。
村の職員数は190名、120名が診療所、高齢者生活福祉センター、フェリー等の現場で働く。
給与水準は、全国で3番目に低い。 
村内25ヶ所の水洗の公衆トイレは、役場で人を雇って毎日清掃。
高齢化社会に対応して「寝たきりゼロ」を目標に、訪問看護、在宅入浴サービス等の在宅ケアにも取り組む。
平成3年に、全国で最初の高齢者生活福祉センターを診療所に隣接して建設した。
この施設は、居住部門、短期居住部門、デイサービス部門からなり、診療所と渡り廊下でつながっている。
居住部門は、24時間体制で日常生活の介護、援助、食事の提供等、ミニ特養的な運営を行っている。
また、ここを拠点に、ホームヘルパーが活動しており、在宅介護サービスの中心にもなっている。 
介護サービスは、診療所と高齢者生活福祉センターと地域包括支援センターが提供し、
診療所は、病床数16床(うち療養型病床群6床)、診療科目は内科、外科、小児科、眼科(月1回)、歯科、
血液透析も行っている。
年1、2回、県による耳鼻咽喉科等の巡回診療がある。
これからの村づくりの方向は、
水産業の振興、ワークシェアリングや保健・医療・福祉の連携による地域包括ケアシステムの推進、環境対策等を大事にしながら、交流人口の増加を目指して、村の基幹産業である漁業と共存共栄。
また、姫島ならではの観光の振興を図り、村の最大の課題である雇用の場の創出に全力を挙げる。
水産業と観光の島の創出」を目標に、村民一体となった村づくりを目指す。
ハード整備がほぼ終わったいま、ソフト事業として、「人づくり」をめざす。
これまでは、行政主導の村づくりを進めてきたが、これからは、村民、民間の力や、若い人達のチャレンジ精神を積極的に活用した村づくりを進める。
「職員の給与を低く抑えて、できるだけ多くの人を雇用する」という雇用施策をとってきたが、
役場の職員の給与は、農協、漁協、えび会社といった村内の主な職場の職員の給与に比較すれば、かなり高い状況にある。 
助役は平成3年、収入役は平成13年から置いていない。
議員定数は、現在10名、今年の選挙から8名にすることが決定。


小さな離島の村で、これだけの知恵を発揮し、実践ができる。
これは刺激的な実践だと思う。
まずは実践、実行。