★かの敗戦の日本、民はいかにして生きたか
糠(ぬか)八分 米二分の粉をまるめ 焼きし団子をうましと子等食ふ
洲合充
春の野に雪わけて摘み しタンポポの苦きもうれし 飯にそへつつ
久保田不二子
うづくまり死にゆく人を地下道に ただに眺めて通りけり我
関とも
戦に倒れし人の愛(いと)し子が駅に寝(いね)をり こもをかむりて
赤道つとむ
雪の上をはだしで来たり飯を乞ふ この少年のいちづなる瞳(め)よ
遠藤一夫
世をあげし思想の中にまもり来て 今こそ戦争を憎む心よ
近藤芳美
死ね死ねと吾子(あこ)等を駆りて死なしめし将軍らみな死なで降(くだ)りぬ
鈴木康文
軍閥といふことさへも知らざりし われを思へば 涙しながる