ムクゲ

 どこからどうして種がやってきたのか、庭にムクゲの木が生え、
それが増えた。
 昨年、なんとなくその花を眺めていたら、
 花の色が異なっている。
 赤花もある、白花もある、真ん中が赤く周りが白いのもある。
 今年、異なる色の花が咲くだろうと予測して、玄関前に2本移植した。
 腰ぐらいの丈の苗木だった。
 腐葉土も入れ根っこの周りに木のチップを敷いてやった。
 二本のムクゲは、春から夏にかけてぐんぐん背丈を伸ばし、一本は赤紫、もう一本は白の真ん中がピンクの花を開いた。
 工房の前の樹は、まっ白な花。
 朝の散歩で見つけた、田んぼの端に咲いているムクゲは八重の赤色、
 いまその一枝をもらってきて、挿し木をしている。
 もう根っこを伸ばしているようだ。
 ムクゲという木の花の豊かさを、今年初めて知った。
 ムクゲは、韓国の国花。


 昔歌った「ムグンファ」という歌がある。

   ムグンファ ムグンファ
   ウリナラ コ
   サンチョンリ カンサンネ
   ウリナラ コ

 フォークシンガーの笠木透がこの歌を訳して歌った。

   ムクゲ ムクゲ 国の花
   三千里 野や山に わが国の花

 朝鮮半島の南北の長さは三千里。
 韓国朝鮮統一の悲願を表す三千里。
 ムクゲを「無窮花」と書いた。
 ムクゲは強い花。枝を折っても簡単に折り取れない。
 寒さにも暑さにも、
 乾燥にも湿潤にも耐えて、ねばり強く咲き続ける。
 日本の植民地時代はその粘り強さから抵抗のシンボルとされた。

 
 笠木透は、あの歌も作詞作曲で歌った、「私の子どもたちへ」 。


     生きている鳥たちが
     生きて飛びまわる空を
     あなたに残しておいて
     やれるだろうか 父さんは
     目をとじてごらんなさい
     山が見えるでしょう
     近づいてごらんなさい
     コブシの花があるでしょう


 国花はその国を象徴する。
 日本の国花は菊と桜。
 中国は、ボタン。
 北朝鮮は、おおやまれんげ。
 ロシアは、ひまわり、カモミール
 ミャンマー、しゃらそうじゅ。
 カンボジア、稲。
 タイ、ゴールデンシャワー(なんばんさいかち)
 マレーシア、ハイビスカス。
 インドとベトナム、はす。
 インドネシアとフィリピンは、まつりか。
 ネパール、しゃくなげ。
 アフガニスタン、チューリップ。
 イラン、イエローローズとチューリップ。
 イラク、バラとチューリップ。
 イスラエル、オリーブとシクラメン
 チェコ、ぼだいじゅ。
 スロベニア、小麦。
 イタリア、デージー
 ベルギーとオランダ、チューリップ。
 ドイツ、矢車草。
 フィンランドすずらん
 フランス、百合とアイリス。
 イギリス、ばら・あざみ・水仙
 スペイン、カーネーション
 スイス、オーストリアは、エーデルワイス
 ‥‥

 花をめでる人びとの姿が目に浮かぶ。
 それぞれの国の花を並べていくと、
 戦争することの愚かさをしみじみ感じる。