二度まで自ら命を絶とうとした彼に、何かいい読み物はないかと、本棚をさがした。
数冊本を引き出したが、それが適当かどうかわからない。通信制高校で教えた彼、ときどき電話をしてくる。本を読んでいるかと訊くと、あまり本を読んでいないという。
本棚から数冊の本を引き出した。そのなかの一冊の詩集、屋久島に住んで農耕に生きた山尾三省の詩に、奥さんが一篇一篇、短い文章を添えている。三省がなくなって 、出版された詩集だ。
ウクライナ攻撃はやまない。人間の破滅、世界の破滅に進んでいる。
「祈り」という詩、以前もこのブログに載せたことがある。詩は、「南無浄瑠璃光」と呼びかける。「瑠璃光如来」は薬師如来のことである。もう一度ここに、わが祈りをこめる。
祈り
南無浄瑠璃光
海の薬師如来
我らの病んだ心身をいやしたまえ
その深い音の呼吸で いやしたまえ
南無浄瑠璃光
山の薬師如来
我らの病んだ欲望をいやしたまえ
その深い青の呼吸で いやしたまえ
南無浄瑠璃光
川の薬師如来
我らの病んだ睡眠をいやしたまえ
その深いせせらぎの音で
安らかな枕をもどしたまえ
南無浄瑠璃光
街の薬師如来
我らの病んだ科学をいやしたまえ
その深い青の呼吸で
ひともとのすみれの花を学ばせたまえ
南無浄瑠璃光
天と地の薬師如来
我らの病んだ文明をいやしたまえ
その深い青の呼吸の
あなたご自身を現したまえ