75歳で英語教員になった人

 黙って新聞を整理していた家内が、突然声を発した。
「こんな記事が載っているよ。75歳 英語教員になります‥‥」
 一週間ほど前の朝日新聞の声の欄に載った投書だ。
 「75歳で英語教員?」
 家内はそれを朗読し出した。
 「75歳 英語教員になります  大学生 75歳 名前省略‥‥
 2年前に、大学の英文科の3年に編入学して、若者と一緒に学習し、先日、中学と高校の英語教員の資格を取得しました。就職活動をして職を得ることができ、4月から高校で英語を教えます。老いても学び、熱意とバイタリティをもって社会に貢献しようと、勇気が湧きました。若いときに留学をし、最近では世界一周旅行をした経験を生かし、若者が英語を学び、世界に羽ばたくお手伝いをしたいです。
 年齢制限があり、ボランティアができなかったことがありました。年をとっても働ける日本であってほしいと願っています。次の夢は幼稚園と小学校の教員の免許を取得して、さらに低い年齢の子どもたちに英語を教えることです。」
 「へえー、わが同志だあ。」
 教員として採用してくれるところがあってよかったなあ。73歳で英文科に編入して、教員資格を取得したか。たいしたものだ。意欲、情熱があり、人生体験が豊富で、若者以上の能力を持った人はたくさんいる。年齢制限の規則に縛られず、人間を見て採用することのできる見識をもって学校や行政は人事をすすめてほしいと思う。

 数日前、自転車の後輪がパンクした。
 昨日村の自転車屋へ持っていって、修理してもらった。タイヤが破裂していたから、タイヤとチューブの両方を交換して、修理代4800円。思いのほか高かった。
 おじさんは、修理に1時間ほどかかるというから、出来上がるまで、またまたフキノトウを探しに山の方へあがっていった。アルプス公園近くで群落が見つかり100個ほど摘んで、修理の終わった自転車に乗って帰った。価格は高いと思ったけれど、国産のタイヤだから今度は丈夫だろう。前のは輸入物だった。

 今日自転車をこいで、スーパーへ味噌を買いに行った。今日から消費税8パーセントになり、その分、値が上がり、客足も少ない。
 夕方フキノトウ味噌に加工した。
 一時間半ほど、モーツァルトのピアノ協奏曲を聴きながら、味噌をつくった。モーツァルト、世界を魅了する美しい曲の数々、一人の人間の中から生まれたこの奇跡をしみじみと思う。