子どもの遊び研究


1、子どもは遊びを創造する達人である。
2、子どもは遊びを通して、能力や感性を豊かにする。
3、子どもは友だちとの遊びを通して、友情を育む。
4、子どもは遊びを通して、自然と交わり自然から学ぶ。

 子どもは遊びを創造する達人であるから、遊び道具は自分たちで発見し自分たちでつくるものである。現代では、おもちゃや遊び道具は与えられるものになっている。会社でつくられ、お金を払って買うものになっている。しかし、人類の長い歴史はそうではなかった。生活の場にあるもの、それがすべて遊び道具になった。
 戦後の暮らしの中でぼくらは、古い五寸釘一本を遊び道具にしたし、割れたかわらを、実におもしろい遊びに使った。

       研究(2)かわらあて

 割れた屋根瓦は、どこにでもあった。遊び仲間の4人は、それぞれ見つけてきた瓦(かわら)のかけらを、棒で地面に引いた線の上に倒れないように並べて立てた。大きいのやら小さいのやら、4人のかわらは10センチほどの間隔をあけて、線上に並んで立つ。4人はじゃんけんをして順番を決めた。1番のマアちゃんは自分のかわらを手に持って、並べて立つかわらから5メートルほどのところに、もう1本平行線を引いて立った。そこはかわらを投げる投てき位置である。
 マアちゃんは、かわらを右手にもち、右腕をお腹のところに引き付けると、標的のかわらめがけて水平に投げた。カチャン、音を立ててぼくのかわらに命中して、ぼくのかわらは倒れた。成功すると続けてチャレンジできる。マアちゃんは次にカッちゃんのかわらをねらって投げる。それもうまくいくと、最後ヒロミちゃんのかわらをねらう。失敗すると、2番の人に交代し、自分のかわらを、標的を置く線上に立てる。
 ほかの人のかわらを全部連続して倒したら、グレードがアップして、次のレベルに上がる。そうしてだんだん難しくなる。第二段階は、スタート地点から片足跳びをして5歩進み、片足立ちのままで、かわらを投げる。第三段階は投てき位置に立って、腕を回してまたの下から投げる。第四段階は、後ろ向きになって、またのぞきの姿勢で投げる。第五段階は、にぎりこぶしの上にかわらを置いてまっすぐ腕を前に伸ばし、みんなで決めた歩数で標的のところまで歩くとかわらを落下させて、友だちのかわらを倒す。これを「ろうそく」と子どもたちは呼んでいた。第六段階は、目をつむってスタートし、この辺りだろうと推し量った標的の位置にかわらを落として友だちのかわらを倒す。
 こうしてグレードを上げながら、競う遊びである。小学生のころのことだから記憶は少しあいまいだが、大筋はこんなところである。かわらをどんな大きさでどんな形にしたらいいか考えて細工する。投げ方、落とし方はどうするといいか考えて技をみがく。
 単純な遊びに変化をつけて複雑にし、おもしろさを高めた。こうして、自分にあった道具を作ろうと脳が働き、投げる感覚、距離を測る感覚が鍛えられた。