木曾三川


木曽川長良川揖斐川
三つの大河が一つのところに集まって並走すれば、
風景はどれほど雄大だろうかと、
運動がてら見に出かけた。
岐阜県南部の三川が並走するところに河川公園ができていることは知っていたが、まだ行って見たことがない。。


雲ひとつない秋晴れになり、古ぼけた自転車に乗って、岐阜羽島から三川公園をめざした。
片道3時間かかるか4時間かかるか、まあ今日一日のんびり行くとしよう。


木曽川長良川に挟まれた、輪中地帯の田園と村を抜けていく。
昔は両河川が氾濫して、洪水の被害にたびたびさらされてきたところだ。
農家の基礎を高く石積みして、家を守った昔の生活がいくつかの旧家に残っている。


このあたり、ほとんど稲刈りは済んでいるが、まだの田もある。
右から長良川の堤防、左から木曽川の堤防が近づいてきた。
やがて長良川左岸堤防と木曽川右岸堤防の二つが合体して一つになる。
さてそこから、どうなるか。
そこを見たい。
二つの堤防が右と左から伸びてつながると、
1本の堤防になった。
堤防は、右の長良川、左の木曽川の流れを分けて、両対岸を見はるかし、
下流の伊勢湾に向かってえんえんと続いていく。
その部分の堤防は舗装をしていない。
車が通れる道にはなっているが、がたがた、でこぼこの砂利道だ。
自転車は砂利音をたてて進んでいく。
自動車は通行禁止ではないが、通行を遠慮してほしいという看板が立てられている。
だから無遠慮な人は入ってくる。
遠慮してほしいのは、何よりもここの河川敷が、うっそうと茂る森になっているからだった。
悪いやつがいるもんだ。
こういうところに粗大ゴミを持ってきて捨ててある。
大和の国でもそうだった。
金剛葛城の谷にも、大和高原の谷にも、
粗大ゴミわんさとが捨てられていた。


砂利道を1時間も行くと、尻が痛くなってきた。
木曽川河川敷の緑のグランドに、グライダーのようなものが見えてきた。
近づくと、グライダーが10機ほど並んでいて、今まさに飛び立つところだった。
1キロ近い長さのロープに引かれたグライダーは、急角度で空に舞い上がっていった。
監視役の大学生が堤防上にいたので、いろいろ質問したら気持ちよく答えてくれた。
近畿の大学の、グライダーサークルのようだった。
そこを過ぎてしばらく行くと、次はラジコンの飛行機を飛ばす人たちがいた。空を見上げると、対岸の空をパラグライダーが飛んでいる。
木曽川の中に入って、何か獲物をとっている人もいた。



そしてやっとこさ、三川公園に到着した。
もう12時近かった。
ポケットから飴玉を出してしゃぶる。
公園の河川敷には、数十のテントがはられ、
その中のグランドで、愛犬を連れている人たちの競技が行われていた。
飼い主が円盤を飛ばす、
犬がそれをジャンプしてくわえ、キャッチする。
犬の表情と競技する姿を見ていると、いじらしくなった。


花の咲き乱れる公園を散歩し、
持ってきたパンとふかしイモを食べた。
たくさんの子どもたちが、公園の遊具で遊んでいた。
スケボーをしている子もいた。
大人も子どもも、いろいろな遊びに熱中している。
熱中することの幸せ。
遊びがもたらす価値を考える一日だった。


帰り道は、長良川の右岸に作られたサイクリング専用道路を走って帰った。
上流に向かっているのだが、上りの感覚は全くなかった。
それほど川の勾配は緩やかだ。
行きは2時間半、帰りは2時間、
少し日焼けして、首がひりひりする。