ツバメの巣づくり


つがい(夫婦2羽)のツバメが家の軒に巣を作っています。
人間の家の軒に巣を作るのは、人間のいるところでは、カラスやヘビが来ないことを知っているからです。
カラスやヘビが来ても、人間が追い払ってくれるでしょう。
昔、昔から、人間の家に巣を作ることで人間に助けられ、
ツバメに虫をとってもらって、人間は助けられてきました。


ツバメの巣は全部土でできています。
枯れ草やわらも少し入っています。
去年の小さな巣の上に、新しい土を積み重ねて、大きくする作業です。
つがいの1羽が土をくわえてきて積み上げ、丸く整える作業をしている間、もう1羽はくちばしに土を含んだまま、近くの電線で待っています。
作業を終えた1羽がすいーと飛び立つと、待っていた1羽は入れ替わって巣に入ります。
2羽の工事だから、はやい、はやい。
つがいが共同で作業をするから見る見るできあがっていきます。
巣づくりは着々と進み、巣は2倍ほどの大きさになりました。


オスとメスのペアは、子どもをつくるためにあるだけでなく、生活や仕事を成り立たせるという大きい役割をもっています。
人間も同じです。
お父さんとお母さんがいて、仕事を分担し、いっしょに仕事し、家族が暮らしていけます。
人間の食料を作る農業では、一人で耕して、種を蒔き、肥料をやり、草をとりとなると、大変です。
家族で働くことによって、いい作物をたくさんつくることができます。
大家族になるともっといろいろなことができます。
だから昔の家庭には、子どもが4人も5人も6人もいました。
子どもも田んぼや畑で、手伝いました。


昔から人間は何家族も集まって村を作り、
一つの家族ではできないことを、みんなの力でやりとげて、村のみんなが安全に暮らせるようにしてきました。
大雨が降ると川の水が押しよせるところには、堤防をつくりました。
道のない不便なところには、道をつくりました。
家を建てるときは、村人が手伝いました。


子どもたちは、親の仕事を手伝いながら、村の子どもどうしで遊びました。
子どもは、家の外で群れをつくって遊び、近所のお兄ちゃん、お姉ちゃんは、年下の子に遊び方や、動物のことや草や木のことを教えました。
こうして子どもは、強くなり、やさしくなり、かしこくなり、元気になりました。


ツバメの巣は完成しても、しばらく巣の土は乾いていませんでした。
2羽のツバメは、乾くまで巣の外のどこかで過ごしていました。
数日たってから、ツバメはもどってきて、卵を産んだようです。
卵をあたためる仕事が始りました。
1羽が卵の上にしゃがんで卵を抱いています。
そして交代します。
交代するとき、もう1羽は、交代するよ、と合図するのでもなく、
すぐ近くで交代するときを待っています。
去年より大きくなった巣の中に、ツバメの体はすっぽりと入り込み、ツバメのしっぽの先だけがちらりと見えています。
卵からヒナが生まれるには、ずっとこうして体温を与え続けなければならないのです。
親の体温を受け取って、ヒナは生まれるのです。


卵からヒナがかえると、今度は餌をとってきて、ヒナに与える仕事です。
お父さんツバメとお母さんツバメは、せっせと虫をとりに出かけます。
今は梅雨、暑い夏がきました。
虫もたくさん飛ぶようになりました。
ヒナたちは、親の運んできてくれる餌によって、大きく育っていきます。