どの民族も、どの国も、外来文化を吸収しながら独自の文化を築いてきた 。
そして今や他の国々との密接な関係を切り離して、自国を存在させることはできない。生きることはできない。
世界の中に自国があり、自国の中に世界がある。
たくさんの詩、童謡をつくった北原白秋。その詩や歌について、
「国家の生誕以前、歴史的世界の生誕以前、宇宙や時空の生誕以前の、絶対的現在こそが、人類の本源である。
雨のミュンヘンの街角で、幼い子どもの手を引き、雨傘を差しかけている若いドイツ人のお母さんを見て、地球の反対側でも、
アメアメ フレフレ カアサンガ‥‥
だったのだ。
それはモスクワでも同じだろう。」
こう書いたのは、北原隆太郎だった。
ウクライナの野も、ロシアの野も、ボヘミアの森も、チュウリンゲンの森も、キーウの湖も、鳥や動物、人間、そこに生きるものたちの、本源的な存在の故郷なのだ。