安倍前首相は、「しっかりと」という言葉をよく使った。
それがはやりだした。
他の議員も、官僚も、「しっかりとやります」、国民も「しっかりやりましょう」、「しっかりやってください」。
少しも「しっかり」していないのに、「しっかり」だらけになってきた。
テレビを観ていて耳につくのが、「~かな」という「あいまい表現」。
「コロナが心配です」と言うところを、「コロナが心配かな」と、「かな」が入る。
「私も就職できて、うれしいです。」と率直に言えばいいところを、
「私も就職できて、うれしいかな。」と、「かな」が入る。
「かな」を入れて、ボカすあいまい表現。やたらと耳につく。自分の気持ちや、感情表現に自信がないのか、ストレートに言うことに抵抗があるのか。
「感染者が増えていますが、マスクをつけない人がいます。そのような状態では、コロナが収まりません。」
前段に言ったことを、「そのように」「そのような」「そうした」「こうした」と、受ける言い方、これが又やたらと多い。
すると、他の政治家も、同じような言い方になってきた。言葉も感染する。
スポーツ選手の発言に出てくる、気になる表現が、
「応援している人を感動させたいです。」
「感動させる」「喜ばせる」、この「せる、させる」は使役表現であり、この言い方は応援してくれている人に失礼になると気づいていない。「感動してもらえる」「喜んでいただける」という謙虚な表現のできない人が多いようだ。「あなたは何様ですか」と言いたくなる。