国分一太郎さんは、東北なまりでおっしゃった。
「いやあ、部落をしずめにしたという
『しずめ』の意味が分りましたよ。
『しずめ』というのは魚釣りのときの、
ウキの下につける重しの『しず』なんですねえ。」
身分階級のいちばん下に置き、
労働者、農民を下に引き下げる役割を果たす、
そういうことなんだと、国分先生はおっしゃたのだった。
今は亡き国分先生。
「しずめ」は、「沈める」から来ている。
現代社会では、この「しずめ」の働きを、
ブラジルなどからの外国人労働者や、
派遣社員などの非正規労働者や、
技能研修生に、になわせている。
日本の雇用者がもつ意識のなかに、
安価に利用し、こき使うという考えがある限り、
その意識はかならず実態を生み出していく。
差別の意識が、日本社会の構造をつくっていく。
外国人労働者や技能研修生を、
日本社会の一員として、
交流し、
異文化を尊重していく、
そういう取り組みも行っている自治体もある。
市民が動くときだ。
学校で、市民の会で、
互いを知る交流の場を作る。
隠された、企業内の存在にしないことだ。
悪は、とざされた中に巣くう。