春が来た

 

 一昨々日の重い湿雪で、ひばりの巣は雪に埋もれてしまったのでは?と案じていた。
地面に巣をつくるから、ドカ雪は災難。
 ところが昨日、雲雀の姿が見えた。無事だった。巣の位置は、あの辺りかなと遠目で探すが、畑の中まで入ることは避ける。だから目にすることはできない。麦が十センチほどに伸びている畑のどこか。昨日のヒバリは、種取り用の玉ねぎ畑に空からまっすぐ落下するように下りた。下りるともう姿が見えない。羽の色が保護色で、土に下りると判別できない。玉ねぎの細葉もまだ二十センチたらずだ。
 ゴジュカラがつがいで庭に来ていた。スズメよりも小さい。頭が黒く頬が白い。樹の枝の下側にとまって上を向いて木をつついている。ニレやダケカンバの森で、春を告げて、フィーフィーとさえずるのだが、昨日はまだ鳴き声が聞こえなかった。
 ヒヨドリはわがもの顔だ。薪をログハウスのように組んで、野菜ゴミを堆肥にするコンポストを庭に作ってあるが、その隙間からくちばしを突っ込んで、野菜やリンゴの皮などを引っ張り出し、シラカバの枝にとまって食べているのよく見る。とまる定位置がある。リンゴの皮は、そのままでは喉に入らないから、なんとか小さくして飲み込もうと、枝の上でくちばしを動かしている。これからヒメコブシの花が咲いたら、ヒヨは待ってましたとばかり、花の蜜を吸いに来る。
 ジョウビタキは二月に見かけたが、この頃見ない。赤さび色のお腹をしていて、尻尾を上げ下げしてヒヒッと鳴く。山と渓谷社の「日本の野鳥」に、こんな記事がある。
 「初霜の下りる十一月ごろ、北アルプス山麓安曇野では、野づらや林が黄や紅に彩られ、渡ってきた冬鳥のジョウビタキが山端の低木林に姿を見せて、深みゆく秋を告げる。この頃、迷鳥のムギマキ、ヤマヒバリ、シマセンニュウ、シラガホオジロ、コホオアカ、キアオジなどが、まれに飛来する。」