連休に雪ちゃんがやってきた。7年前、武漢大学で教えた彼女は、今は中国・四川省の大学教師をしている。
「雪」はニックネーム、武漢大学の日本人留学生がつけてくれたのだと当時話してくれたことがある。
「私は雪が好きだからなんです。」
とその由来を言っていた。純白の雪が好き、そしてクラシック音楽が好き。
大学を卒業してから、とりあえず北京の一般企業で働きつつ大学院で勉強したいという思いを温め続け、今は四川省の大学教員。結婚して子どもも生まれた。それでも夢を追う。
今回、中国の大学の日本語教師ばかりを日本に招いて教授法などを教える50日の研修に参加し、三日間の連休を利用して我が家に遊びに来たのだった。
新宿発の高速バスでやってきた彼女と松本インターで会い、蕎麦の実が収穫を待つ農道を車を走らせて我が家に迎え入れた。
妻の洋子も犬のランも熱烈歓迎、第一夜の食事は鍋料理がいいでしょうと「しゃぶしゃぶ」、鍋を囲みながらこの7年間の彼女の生活や同窓生の消息を、薄れつつある記憶をまさぐりながら聞き入った。
初めての信州安曇野、二日目どこへ案内しようか、なかなかプランが定まらなかったが、気の向くままに大王ワサビ園に向かった。
水底の水藻も透ける万水川には何艘かのボートが浮かぶ。
「川を見ると気持ちがすがすがしくなります。」
と雪ちゃんが言う。
ワサビ園をめぐり、カメラを忘れてきた彼女はぼくのカメラを借用、興味関心をひくものにレンズを向けていた。
それから、高瀬川ほとりの早春賦音楽碑で早春賦のオルゴールを聴き、穂高温泉郷の足湯で足を暖め、絵本美術館&森のおうちに立ち寄り、アートヒルズミュージアムをぶらぶら見て回り、雑貨屋「作家屋」などの店を回った。
二日目の夕食は、これも日本の家庭料理の花形「手巻き寿司」を洋子が用意してくれた。
三日目、アキオ君のりんご園、ボウ君の地球宿を訪問して、農業にいそしむ若い人たちの暮らしと情熱に触れた。ちょうどアキオ君の農場には、ウーフの制度を利用してやってきていた台湾と香港、フランスの若者にも会えた。
ウーフの組織を使って旅をする、雪ちゃんは興味津々。
「それを使って北海道にも行けますね。」
アキオ君からの贈り物のリンゴを一袋、お土産にして再び高速バスで彼女は東京へ帰っていった。
「ああ、楽しかった。」
さて、ぼくのカメラを使って彼女が自由に撮った写真、計170枚、撮りも撮ったり。
「どこも美しかった」と彼女が言う安曇野、
その一部を紹介します。
ワサビ田の横にある万水川。
万水川の水底。 万水川の水車小屋に唐箕。日本の原風景の説明板がある。
雲と秋空。
八面大王の足湯。
道祖神。
稲刈り済んだ田。