世界にまたがる二人

    

 

 

 何年ぶりだろう、カズヒロ君と会った。大工のケイタ君が車で連れてきた。

 パプアニューギニアからはるばるとやってきたカズヒロ君、裸足にサンダルを引っかけ、日に焼けた顔、体は前後も横幅も、たくましくなっている。二人は、ムラの学園の同期生、今年50歳になる。

 カズヒロ君の話は長い長い。22年前、JICAの青年海外協力隊の農業支援でパプアニューギニアに入り、太平洋戦争中戦死した日本軍兵士の遺骨取集にも取り組んできた。

 パプアニューギニアは南太平洋の島々からなる国、独立国になるまでは、イギリス、オーストラリア、ドイツなどの領土を経て、1975年に独立し、イギリス連邦に加入した。パプアニューギニアは、外国資本による資源開発が進行し、金、石油、天然ガスも産出する。

 今、ロシアはウクライナ侵略戦争で、石油、ガスの西側への輸出を止める政策を採っている。日本はロシアのサハリンへの投資をしてきたが、これもアウトになる。だからパプアが注目されるところだという。

 カズヒロ君はパプアに居ついて現地の女性と結婚し、子どもも生まれ、今や現地にとってなくてはならない人材になっているようだ。パプアニューギニアの国情は厳しい。

 波乱に満ちた人生を送るカズヒロ君。彼の人生を記録にとどめれば、すごい作品になるだろう。

 

 大工のケイタ君もまた世界を股にかけている。カナダでログハウス修業をし、日本にもどって、大工兼民宿を経営、そしてフランス人女性と結ばれ、すでに子どもたちはフランスのプロバンスに住んでいる。

 彼ももうすぐフランスに渡り、彼の人生は、フランスと日本にまたがるものとなる。