自転車パンク修理

 

 

 自転車の後輪が、空気を入れてもすぐにペチャンコになる。どうもパンクしているようだ。どうしたもんだろう。自分で修理してみるか。けれどガタガタのわが左脚、痛んで力が入らない。自転車が使えなかったら困るなあ。

 

 親しくしているご近所のオーさんに言うと、修理やってみましょうか、と返事が返っ。てきた。

 「何度かパンク修理していますから、やってみましょう。」

 「ありがとうございます。助かります。」

 「明日、やりましょう。」

 翌日、オーさんがチンコンと門ベルを鳴らして来てくださった。

 オーさんはパンク自転車を押して家に帰り、二十分ほどしてオーさん宅に行ってみると、もう自転車のタイヤははずされ、チューブが引き出されていた。

 「穴が見つかりましたよ。」

 小さなたらいに水が入っていて、そこにチューブを漬けて調べた結果、パンクの穴が見つかった。

 「ヒエ―、もう見つかったんですかあ。早いなあ。」

 オーさんは、パンクの穴をふさぐために修理用の糊の付いたゴムの断片を、その穴に貼り付けた。なんとも慣れた手わざ、ぼくは感嘆した。

 「これで助かりました。買い物に行くのに、できるだけ自転車を使おうと思ってましたから。」

 感謝しきりのぼくは、自転車に乗って帰り、わが手作りの、小型の「ベンチ」を一脚、一輪車に載せて。オーさんの家の前の、「新雪」という名の美しい白バラの咲く横に設置した。以前からオーさんに、約束しておいたベンチ。

 「ここに座って、常念岳を眺めるといいですよ。」

 「いいねえ、いいねえ」

 オーさんもぼくも、満足、満足。