反戦、非戦

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  反戦、非戦、いろいろな考えが出ているが、ロシアでそれを出せば弾圧を受けるだろう。ウクライナで出せば、「祖国を守らねばならない」という声が返ってくるだろう。

 国土を破壊し、命を奪い、難民を出しても、国の統治者の意志が変わらぬ限り、戦闘はつづき、エスカレートしていく。

 

 日本には、短歌という文化があり、庶民の誰もが歌える。

 戦場にも、帰還した兵にも、待っていた親にも歌があった。これはすごいことだ。

 1945年、日本の敗戦で生き残り、故郷に帰還した人たちの歌がある。生き残ることができたから生まれた歌。昭和万葉集から。

 

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  つつがなく帰りきしかば 老い母は吾の背中を洗ひたまえり

                      矢島祐利

     (召集を受けて戦地に行った息子が無事に帰ってきたのだ。)

 

  父さんと駆駆け寄りくる愛(いと)し子に 胸せまりきて声とはならず

                       守住徳太郎

 

  敗れたる軍(いくさ)の中に病み病みて 衰へ果てて夫は帰りぬ

                       大岡亮

 

  よりそへば体愛(いと)しく匂ふなり たしかに夫(つま)は帰りきませり

                       三宅千代

 

  戦友(とも)あまたを人間魚雷に死なしめて 帰れる吾児(あこ)は多く語らず

                       菅原俊治

 

  待ち待ちし弟 還(かえ)れり 汝が横に今宵はいねむ 老いにし母と

                       武川忠一

 

  帰還せる めしひの友の手を握り 吾が慰めは言葉とならず

                       松山哲夫

     (「めしひ」すなわち盲目になってしまっていたのだ。)

 

  妻とゐる夜半(よは)に おののけり 左掌にまさしく銃の油匂ひつ

                       小林昇

     (戦場の恐怖が、夜中によみがえるのだ。 )