烏川渓谷を歩いた

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 「今から烏川渓谷へ行こう。」

 昨日午前、突如ワイフに声をかけて、車で五分ほど、烏川緑地に行った。

 あまりに燦爛たる快晴、この時をおいてなるものか。

 森の中をちらほら散策する人がいる。お父さんが幼児を肩車し、もう一人の手を引いて歩いている。

 常念山脈の雪解け水が岩間を音立てて流れている。オオルリはまだか。それらしき声を聞かない。

 谷川沿いのビオトープにアメンボがいた。彼らはここに生き延びていた。

 

 家に帰って、「ドイツの学生歌」CDを開いて聞く。

 そのなかに「若者よ 外に出よう」という歌がある。

 

   若者よ 外に出よう

   その声を、家から家へこだまさせよう

   銀のようなヒバリの歌声が

   五月の始まりを告げる

   外に出よう 理屈をこねずに

   元気よく 歌とリュートの調べとともに

   若者よ 外に出よう

 

   若者よ 外に出よう

   石頭や俗物に対抗するために

   詩の神が助けを呼んだなら

   昼も夜も外に出よう

   詩の神が自由を取り戻すまで 

   若者よ 外に出よう

 

 この歌の解説に、「若者たちの自由のための戦いが、二つの面を持っていた。一つは反動支配体制との闘い、もう一つはナポレオンに象徴される侵略との闘いだった」とある。そこには立ち上がる学生たちの愛国の精神があった。しかしその愛国の精神は、百年後にナチス台頭による民族主義に利用され、亡国の道をたどった。苦悩と悲哀の歴史を想う。

 今、ドイツもウイルスとの闘いのなかにある。