「ひきこもりの国」  <6>

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「日本の若者は、批判的に思考する教育を受けておらず、それを奨励もされていない。権力への反発を示すためのメカニズムも存在しない。故に社会を作り直すのに力を貸すべき20代、30代、40代の人たちがその社会から離脱しようとして、ついには「ひきこもり」のような自己破壊的な道を選び、カラに閉じこもってしまう。

 日本の若者に広がる絶望感は、努力は報われると信じる者たちと、どんなにがんばっても成功は望めないとあきらめた者たちとの間の希望の格差が広がっていることに起因している。」

 夢がない、希望を持てない、先進国でこれほど自殺率の高い国はほかにあまりない。未来はどうなるのか、その閉塞感は令和の時代も深刻になってきている。しかし、現象面ではなんとなく、なんとかなるのだろう、なんとかしてくれるだろうと、楽観がたゆとうている。

 新聞の声欄に、「塾の生徒に質問したら、真珠湾攻撃から戦争が始まったことを知らなかった」との嘆きが出ていた。15歳以上の日本の男子が「国民義勇戦闘隊」に組織され、戦争に参加させられることになっていたなんて、そういう歴史もかすんでしまっている今の日本だ。中学、高校で、グレタさんの演説を知っているか、香港のデモに中学生高校生が参加しているのを知っているかと聞いてみたら、どんな答えが返ってくるだろうか。