自家製トマトソースは実にうまい。それで毎年妻が地這いトマトを長時間煮込んで作っている。トマトは僕が作り、ソースは妻が作る。
今年もソースづくりを始めた。ところが今年、トマトの出来が悪い。成長が良くなかった上に、天候不順がたたった。収穫に行くと半分ほどは腐ったり虫にやられたりして処分した。
妻は毎年大鍋をガスレンジにかけて6時間ほど弱火でトマトを煮込んできた。そうするとエアコンのない我が家は、酷熱の状態になる。もうたまらん。そこで、カンテキを使うことにした。大阪ではカンテキと言っていた。七輪のコンロだ。物置きに眠っていた素焼きのカンテキを出してきて、木炭と豆炭を入れて庭で火をおこす。一本のマッチで火起こし成功。
初めに、黒豆を炒った。黒豆は少し虫が入っている。炒り豆は黒酢づけにする。昨年収穫してから、毎朝この黒酢づけ炒り豆をつくって食べてきた。
つづいてトマトを大鍋で煮込む。豆炭と木炭の火は、ちょうど煮込むのにふさわしいものになった。庭の木陰でベンチに座り、火加減を見てときどき鍋をかき回す。本を持ってきて、読みながら、午後はヒメコブシの木とヤマボウシの木の下で、ずっとソースづくりと読書だった。
炒り豆もトマトの煮込みも、カンテキでできた。
カンテキ、いいねえ。