二つの歌

 パソコンをが開いたら、FさんとAさんから歌がコメントを添えて届いていた。Fさんは、森山直太朗の歌「人間の森」、Aさんからはマイケル・ジャクソンの「地球の歌」。どちらもぼくの知らない、聞いたことのない歌だった。ユーチューブで二曲を聴いた。
 二人はそれぞれ全歌詞を添えていた。
 Fさんは、「娘が熱烈なファンになっている森山直太朗。私は思いがけない痛みを伴って聴いた」と、「人間の森」に魅せられた痛みをつづっていた。
 歌詞のなかにこんな部分があった。
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   綺麗なだけの蝶々を追って
   迷い込んだ人間の森
   月並みな夢にほだされて
   傷つくことを忘れた僕は
   名もなき外国の鳥


   答えのない世界
   折に触れ
   夕暮れにあの小さな浮浪雲
   どことなく僕らに似ているよ
   何処へ


   綺麗なだけの蝶々を追って
   迷い込んだ人間の森
   悲しみの雨はメゾフォルテ
   途絶えた点と点をたどって
   異なる旅立ちの時


 Fさんの思いは痛い。
 「沸き上がってくる『人間の森』のイメージ。そこに在るかぎりそのことに気づかなかった。迷い込んだ人間の森から脱け出すのも容易ではなかった。新たな世界への旅立ちの時に気づくのも時間がかかった。答えのない世界、無数の問いが生まれ、それが次第に詠嘆的問いになり、ついには詠嘆そのものになった。」


 Aさんの送ってきた「Earth Song −地球の歌−」、Aさんの慨嘆、絶望がこの歌を知人友人に送る気にさせた。
 「いかに地球が人間によって破壊されつつあるか。 マイケルは亡くなる前に、
『あと4年のうちに、何とかしなければ地球は大変な事になる。』
と言っていたそうです。4年後とは、2012年のことです。2018年の今、果たしてどうであろう。」
 長い歌詞のなかにこうある。


    大地を破壊していることをどう思う?
    時間は残されているのか

    君らは一度でも気づこうと立ち止まったか?
    僕らが共に流してきた血の歴史
    君らは一度でも気づこうと立ち止まったのか?
    泣き叫ぶ地球、すすり泣く海岸を
    僕らは地球に何をしてきただろう?

  
    花咲き乱れる草原はどうだい?
    時間は残されているのか
    すべての夢はどこへ行くんだ


    君は一度でも気づこうと立ち止まったのか?
    戦争で死んだ全ての子供達のことを
    君は一度でも気づこうと立ち止まったのか?
    泣き叫ぶ地球、すすり泣く海岸を


    僕は以前、美しい夢を見ていた
    星の彼方を見上げていた
    今は、僕らがどこにいるのかわからない
    とても遠くまで流されたのはわかっているけれど


    自然は僕らの星の命のゆりかごなんだ
    動物達はどうなんだ?
    僕らは王国を塵に変えてしまった
    象たちには一体何が?
    泣いている鯨はどうなるんだ?
    森の小道はどうなってしまったんだ? 

    死んでゆく子供達には何が起こっているんだ?
    彼らの叫びが聞こえないのか
    赤ん坊はどうなんだ?
    日々の暮らしはどうなんだ?
    彼らの幸せはどうなってしまったんだ?
    人間達はどうなっているんだ?

 
    再び破滅の道を行くのか?
    僕らは、目を向けようともしないのか?